エスパス ルイ・ヴィトン東京(Espace Louis Vuitton Tokyo)は12月7日から2019年5月12日まで、ベネズエラ出身のアーティスト、故ヘスス・ラファエル・ソト(Jesus Rafael Soto)の作品のインスタレーションを開催している。ソトの作品を代表するキネティックアート(動く美術作品)の“ペネトラブル(浸透可能なるもの)”シリーズから、フォンダシオン ルイ・ヴィトン(Fondation Louis Vuitton)が所蔵する作品「Penetrable BBL Bleu」を展示。1999年にソトが発表した同作は、アルミニウムのフレームからPVC製(ポリ塩化ビニール)の青いチューブを吊り下げているもので、鑑賞者は作品を眺めるだけでなく、触ったり、作品の中を通り抜けたりすることができる。
7日のプレス内覧会では、アーティストの孫娘であるマリナ・ソト(Marina Soto)と神奈川県立近代美術館の水沢勉・館長によるトークセッションが行われた。マリナは「生前ヘスス・ラファエル・ソトはクロード・モネ(Claude Monet)の『睡蓮』に強く惹かれ、『まるで絵画に入り込み、包み込まれるような感覚になる』と話し、大きく影響を受けていた」と説明し、また彼が「作品と鑑賞者の関係性を意識し、鑑賞者が作品の一部になることを重要視していた」と語った。水沢館長は1990年に同美術館で開催したヘスス・ラファエル・ソトの企画展について「約20日間しか開催しなかった企画展だったが、平日に約300人、休日には約1000人が来場し、多くの鑑賞者がソトの作品に関心を持っていた」と振り返り、ソトの作品について「絵画からキャリアをスタートさせ、モネの作品などからインスピレーションを受けていることから分かるように、ソトは絵画を媒介として、それをゆるやかに解き、人々が絵の中に入っていけるような作品を生み出した」と解説した。